今回佐渡ジオパークの職員さんが案内する島内特別ツアーに参加させていただき、小佐渡のジオパーク巡りをしてきました。
そもそもジオパークって何? 佐渡にどんなジオパークがあるの?
普段何気なく見ている佐渡の景色の歴史や成り立ちを知ることで、一気に興味をそそられるから不思議です。
本日はそんな佐渡のジオパークの一部をご紹介します。
目次
ジオパークとは?
ジオパークとは・・・
ジオ(地球・大地)とパーク(公園)を合体させた言葉です。
地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所をいいます。
もうちょっと詳しく説明すると、地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら持続可能な開発を進める地域認定プログラムです。
日本語に訳すと大地の公園。わかりやすいですね。
2021年現在、日本ジオパークは44地域あり、佐渡は2013年に日本ジオパークに認定されました。
本日案内していただいたのは佐渡ジオパークの相田さんと関根さん。
相田さんは元々中学校の理科の教員をしていて、佐渡ジオパークの立ち上げ時から活動していました。現在は教員を退職され、佐渡ジオパーク推進室の指導員として日々活動されています。
関根さんは佐渡ジオパーク推進室の職員でありながら、知る人ぞ知る佐渡のYouTuber!最後に紹介しますが、佐渡ジオパークのYouTubeチャンネルに出演しています。
そんなお二人に連れられ、小佐渡北部を中心に佐渡のジオパークを案内していただきました。
佐渡のこの辺へ行きました!
佐渡市両尾海岸
両津港から東に向かったところにある佐渡市両尾海岸は昔、砂浜の海水浴場でした。が、次第に砂浜は削られ川から流れ出たコロコロした石のみ残りました。
この海岸では赤玉・碧玉(へきぎょく)・メノウ・水晶などを見つけることができます。
実はこれらはみんなおんなじ仲間。基本的な成分はガラスからできていて、結晶の大きさの違いでそれぞれの石に分けられます。
碧玉とメノウの違いは透明感。メノウは透明度が高く結晶が小さいですが、碧玉は不透明。鉄成分がたくさん入っていると、赤っぽくなり赤玉となります。
探し方のポイントとしては、これらの石は他の石より硬いので丸くなりにくく、見た目がゴツゴツした特徴があります。
もっと詳しい石の見分け方は専門家でないとわからないので、お気に入りの美しい石を見つけられたらいいですね。
こちらの海岸から眺める景色はとても美しく、佐渡汽船の出入港も見ることができます。景色を楽しみながら石拾いも楽しめる!夏はシュノーケルも楽しそうです!
何気なく散歩に出かける海岸にも宝石がたくさん眠っているかもしれませんね。
ここでちょっとトリビア。(懐かしい。。。)
ちなみに佐渡の畑野にある蛙橋をご存じでしょうか?
橋の欄干に佇む蛙の土台は赤玉石で、蛙は青玉石なんだそうです!
佐渡市羽二生仏岩
入桑漁港の奥の海岸を進むと仏岩に出会うことができます。仏様をイメージしそのように名付けられました。
昔の文献を見るとこの柱が3本あったと記されているそうで、もしかしたら以前は左右の岩の上にも柱状の岩が立っていたのかもしれません。
どうしてこのように柱状になったのか?
岩をよく観察すると割れ目の入り方に規則性があることがわかります。
横に入る亀裂のことを板状節理といい、縦に割れ目が入っていることを柱状節理といいます。
ジオパーク界ではとてもよく出てくる言葉で(きっとテストに出るやつです)、この柱状節理に沿って周りの岩が剥がれ落ちたことにより、現在の柱状の形になりました。
この岩は約2000万年前に地下の熱いマグマが上がってきて地表付近で固まってできた火山岩です。
熱い溶岩が冷えて固まるときに規則正しくひび割れができることにより、この様な割れ目のある岩ができました。
見た感じ割れ目に沿ってぺろっとはがせそうですが、手で触るくらいではびくともしません。見た目に反してかなり頑丈でした。
※ 仏岩へ行くまでの遊歩道は途中、大きく崩れています。行く際は足元に十分気をつけてください。
佐渡市両津大川津神神社
津神神社にかかる赤い橋を渡る途中に海面から見える岩の中に、いくつか穴の空いた岩を見つけることができます。
昔、この穴が開いている所にロープを通して、船を固定していたのだそうです。
けど、よく観察すると遠目からでも水深が浅くゴツゴツした岩が見えるので、どうやって船を係留したか疑問が残る所です。もしかしたら長いロープを使い沖の方に船を係留していたのかもしれません。
赤い橋を渡り、鳥居をくぐると二頭の狛犬が出迎えてくれます。
ジオパーク的にはこの狛犬の乗っている岩に注目します。
こちらは溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)という岩で、よく観察するとたくさんの穴が空いていて、それらは潰されたように横長に並行に並んでいるのが特徴です。
溶結凝灰岩・・・火山が噴火し、溶岩のかけらや火山灰が一気に吹き上がり、地面に高温のまま降り積もります。火山灰に含まれるガラス質のものが溶結し上から押し潰されることで、球状だったものが扁平になります。その後長い年月を経て、風化しその穴から抜け落ち、現在の様な穴が出来上がります。こういった構造を溶結構造と言います。
この溶結構造がある岩は、絶対に陸上でしかみられません。海底ではできないのです。
つまり、これらの岩が見られるということはかつて陸上火山があったとこを示しています。
神社の狛犬の土台になっている岩一つからジオパーク的にたくさんの歴史が詰まっていると思うと、一気ロマンが広がりますね。
佐渡市両津大川竜王崎海岸
竜王神社を下り海岸に向かうと、白い縞模様の大きな岩を眺めることができます。この岩は流紋岩といいます。
溶岩が流れ縞模様になって残ることが特徴のこの岩は、本来は白っぽい色をしています。赤茶けているのはこの岩に含まれる鉄分によるものです。所々黒くなっているのは表面に付着したさまざまな汚れです。
この縞模様は、溶岩が流れた方向に模様ができます。あたりを見渡すと、さまざまな角度の縞模様を見つけることができ、この筋を辿ると溶岩がどのように動いていたかがわかります。これは非常に粘性の高い溶岩が蠢きながら動いた証拠となっています。
奥には佐渡汽船の船からもよく見える、竜王岩と言われる岩があります。
竜王岩にはある伝説が残っています。
「順徳上皇が佐渡に来て船遊びをしていた際に、大切な懐刀を落としてしまいました。その落とした刀を海底にいた竜が咥えて持ってきて、上皇は非常に喜んだとさ」
実はその刀が、佐渡市河崎にある河崎神社に供えられていると言われています。
こちらは有名な観光スポットではなく、あまり観光客も来ないし、地元の人かかなりの岩・石マニアにしか知られていない佐渡でもレアスポットです。
白を基調とした赤茶けた光景は圧巻で、違う世界に訪れた様な感覚になりますよ。
佐渡市片野尾赤亀
こちらは佐渡市片野尾にある赤亀岩。名前の由来は色が赤いから。(そのまんまですね。)
岩の成分は詳細な分析が行われていないため、わかりませんが、流紋岩かデイサイトと言われています。デイサイトは流紋岩に近い石で、白っぽく灰色っぽいのが特徴です。
ここの見どころはなんと言っても、穴が開いていること。
これは海蝕洞(かいしょくどう)と言われ、波によって開けられた穴です。
なんでここだけ穴が開けられているのか不思議ですよね。
穴が開けられる原因としては、①地質的に弱い場所であること ②一度くぼみができるとそこに波の力が集中し穴が開いてしまうこと、などが挙げられます。
ちなみに右手に見える砂浜にはたくさんのヤドカリが生息しているので彼らを観察するのも楽しいです。佐渡に生息するたくさんの貝をお宿にしているので貝の観察にも最適の場所です。
佐渡市片野尾風島弁天
写真ではうまく収められませんでしたが、風島弁天の表面には神の通り道と言われる穴があります。
これをジオパーク的に解説すると、柱状節理が抜けてこのような形状になったと考えられています。
また、風島弁天にはタブノキを始めとする温帯の気候で生育する木々もみられ、植物学的にも面白いジオパークとなっています。
この風島弁天、上まで登ることができます。ひたすら急な階段を登るのですが、手すりもあるので安心して登れますよ。足腰に自信のある方はぜひ登ってみてください。きっと頂上からは美しい景色を望むことができるはずです!
※2021年11月現在、頂上付近にオオスズメバチの巣がある事が報告されていますので、行かれる際には十分お気をつけください。
佐渡ジオパークYouTubeチャンネル
佐渡ジオパークYouTubeチャンネルの「ぶら〜りジオパークだっちゃ!(略してぶらジオ!)」シリーズに今回案内していただいた関根さんが出演しています。
佐渡市ジオパーク推進室学芸員の貞包さんと職員の関根さんのお二人が佐渡のジオパークの見どころを紹介し、魅力を発信しています。
ジオパークについて学べることはもちろん、お二人の掛け合いの緩さがたまりません。佐渡一押しのYouTubeチャンネルです。
こちらのチャンネルを見て佐渡ジオパークについて予習し旅の行程に加えるのもいいですね♪
ちなみに、最近アップされる動画の台本は全て関根さんが作っているのだそうですよ。
Special Thanks
今回、佐渡ジオパーク特別ツアーを企画していただいたのは佐渡市 ご縁のお宿 伊藤屋の番頭さんであり、佐渡PRフォトグラファーを務める伊藤ヨシユキさん。
伊藤さんは「旅館番頭の佐渡観光ブログ」にて佐渡の観光名所や、佐渡にまつわる情報を魅力たっぷりに紹介しています。
https://itouyaryokan.com/blog/
旅館番頭の佐渡観光情報ブログ
楽しいツアーに参加させていただきありがとうございました!
ちなみに、SUI併設の雑貨セレクトショップ しまカタリ。にて販売している佐渡ご当地パズルは伊藤さんが制作しました。
こちらからも購入できますよ!
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最後に
ジオパークはどのようにして現在の形状になったのか学ぶのと同時に、それぞれに伝説が残されているのも楽しいですね。
何かを模していたり、あるものを象徴する形だったり、昔の人々はそれらを崇め、祀ることにより現在にも多くの伝説が受け継がれています。
佐渡に移住して「一通り観光名所は制覇したよ!」と言う方は、佐渡のジオパークに目を向けて、もう一度巡るのもいいかもしれません。
石や地形の成り立ちを知ることで、以前来た場所を違った視点で楽しむことができますね。
ご友人を案内する際も一言ストーリーを付け加えることでその場所をただの観光地としてではない、印象深い場所・旅へと変身させられますね♪ ぜひ、ブラタモリ的な雰囲気で案内してみてください。
佐渡のジオパークの情報は佐渡ジオパークのホームページから!
また、佐渡ジオパークでは市民講座やジオパークガイド養成講座など、より深くジオパークについて学べるイベントなどを企画しています。
佐渡ジオパークの最新情報をチェック!
本日ご紹介したジオパークの詳細についてはこちらも合わせてご覧ください。
佐渡ジオパーク案内パンフレット
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!