こちらの記事で紹介した佐渡と東京の気候の違い。
調べていたら「佐渡島内の気候の差はあるのか?」という疑問も湧いてきました。
皆様からの「島内の比較もしてほしい!」との思いも伝わってきたので、さっそく比べてみました。
それでは、気象庁の過去の気象データを基に佐渡島内(両津・相川・羽茂・弾埼)の気候を比較していきたいと思います!
各地点の位置関係はこちらです。
目次
①佐渡島内 月別平均気温(℃)
全体的にそこまで大差はないですが、年間平均を見ると、相川が気温が高いことが分かります。特に冬の気温も相川が高いです。
相川で雪があまり降らない理由は風が強いという理由だけでなく、気温が高いというのも関係していたんですね。
SUIスタッフはてっきり風が強すぎて雪が吹っ飛ばされて雪が積もらないのだと思っていました。
ちなみに冬の気温が高いのは、佐渡周辺を流れる対馬暖流の影響によるものです。
数字で見るとこんな感じ。👇
島内4地点の平均最高気温、平均最低気温は以下の通りです。
②佐渡島内 月別平均最高気温(℃)
佐渡の最北端、弾埼は夏の気温が低めです。やはり北に位置するだけありますね。
逆に佐渡の南部に位置する羽茂は気温が高いことが分かります。
夏の時期、新潟県内の最高気温のニュースになると、羽茂はよく上位にランクインしていますよ。
羽茂は盆地であることが影響して、気温も上がりやすく、これから紹介する⑤平均風速を見てもわかる通り夏場の風が極端が弱いのも特徴です。
ちなみに各地の過去最高気温は…
両津 38.8℃(2019/8/15)
相川 38.1℃(2019/8/15)
弾埼 35.3℃(2020/9/3)
羽茂 38.2℃(2019/8/13)
過去最高気温を記録したのはてっきり羽茂かと思いましたが、両津の38.8℃でした。
両津・相川・羽茂どの地点も同じ2019年に記録されているのでこの年は大変な猛暑だったことが想像できます。
各地点で38℃台を記録している中、弾埼では35.3℃。3℃もの差があるんですね。
弾埼は佐渡の避暑地と言えそうですね。
③佐渡島内 月別平均最低気温(℃)
羽茂は2月の平均最低気温が氷点下になっていますね。
これもまた盆地という地形が影響しています。暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまる性質がありますが、その状態が盆地の中でも生じます。
山に囲まれているため、温められた空気は上空へ、また、囲まれた山々の頂上で冷やされた空気は盆地の中へ流れ込んできて地上が冷やされるのです。
ちなみに佐渡市の過去最低気温は…
両津 -7.1℃(1988/2/22)
相川 -7.5℃(1915/1/13)
弾埼 -7.0℃(1996/2/2)
羽茂 -7.5℃(1985/1/27)
冬、島内で一番気温が高い相川でも-7.5℃を記録した年があるんですね。
記録された年が結構前なので近年ではここまで気温が下がることはなさそうですが、過去にここまで冷え込んだ年があったことは予備知識として記憶に残しておいていいかもしれません。
④佐渡島内 月別平均降水量(mm)
降水量は年間を通してみると、梅雨時期の7月が一番多く、次いで1、11、12月の冬のシーズン。佐渡は雪が降るので降水量も増えますね。
冬の特徴として、両津と羽茂は降水量(雪)が多いのに対し、相川と弾埼では降水量(雪)が少ないことが分かります。
2年間佐渡で暮らしてみて、確かに両津は雪が多いなという印象は持っていましたが、羽茂も同じくらい降っているんですね。
グラフの通り、両津は島内で一番雪が降ります。
雪が多く降るというイメージにはもう一つ理由があって、両津は家々が密集していて雪を捨てる場所が少なく、路肩に除雪された雪が積まれて雪が多いと感じるからだそうです。
確かに冬の両津の町中を通ると、道端に高く積まれた雪をよく見かけます。
数字で見るとこんな感じです。👇
年間合計降水量は両津→羽茂→弾埼→相川の順になります。
⑤佐渡島内 月別平均風速(m/s)
わー!相川はダントツで風が強いですー-!!たまげました。島内でここまで差があることにも驚きです。
夏は逆に両津で風が強くなるんですね。冬の大陸から吹き付けられる北西季節風がいかに強烈かがわかります。
相川に住む方々は冬場どのように過ごしているのでしょうか?独自の暴風対策などしているのでしょうか?気になりますね。
そこで、相川の漁師町に住む知人に聞いてみました。
毎シーズン行う暴風対策はないけど、家のつくりがちょっと変わってるかも・・・?
海側に納屋があって、その奥、陸側に母屋があるつくりになっていて、両サイドは隣家がくっついているよ。
海側に納屋を建てることで海からの風をブロックして、母屋を守っているのかもしれませんね。
とは言え、日頃行う暴風対策が無いというのも驚きでした。
⑥佐渡島内 月別平均日照時間
合計を見ると両津→弾埼→羽茂→相川の順になります。両津と弾埼は僅差ですね。
グラフを見て面白いのが、羽茂です。夏は他の地域と比べて日照時間が少ないのに対し、冬は逆に多い。
③で紹介した平均最低気温は羽茂は氷点下を記録している月もありました。冬の日照時間は多いけど、気温が低い。盆地という地形も関係していて、なおかつ、放射冷却も起きやすいんだと思います。多分。
冬に少しでも日差しを浴びられる暮らしをしたいのであれば羽茂に住むのがいいのかもしれませんね。
その他、湿度や積雪、雷日数などもお伝えしたいところですが、相川のデータしか公開されておらず比較できませんでした。残念。
島内の観測所
上記に紹介した両津・相川・弾崎・羽茂の気象観測所はどこにあるのかというと、こちらです。
普段目にしたとしても気に留めることのない観測装置。実は島内4カ所もあったんですね~。
- 両津 佐渡市両津夷
- 相川 佐渡市相川三町目新浜町
- 弾埼 佐渡市鷲崎字弾埼
- 羽茂 佐渡市羽茂本郷
ちなみに、相川の観測所は明治44年(1911)に開設されたそうです。観測所に100年以上もの歴史があるなんて驚きです。
当時は漁業が盛んな佐渡で天候を予測し、安全に漁ができるようにと設置されたそうです。
最後に
佐渡は島だけど細かく調べるとここまで気候の差があるんですね。
一番驚いたのはやっぱ相川の冬の風の強さです。
佐渡に来て2年経ちましたが、冬の相川や外海府地域は運転が怖いのでなるべく行かないようにしています。
「冬の相川や外海府は自然の驚異をまざまざと感じられるから逆に好き」と言っている友人もいました。
確かに平和で便利で安全な日本社会で暮らしていると、自然の中で生活していることや自然の恐ろしさを忘れがちですが、あえてそういう環境に身を置くための場所があってもいいのかもしれません。
再認識できる場というか。自然の中で生きているんだと実感できる場というか。
住む場所を決める上でここまで細かく気候を調べることはあまり無いかもしれませんが、移住する際や住み替えのタイミングでの参考になれば幸いです。
今回も気象庁の 気象庁の過去の気象データを参考に作成しました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。